なんだか、僕の胸のあたりがおかしい。


なんだ?これ…
胸が、ざわざわして、どくどくして…

心臓が、止まってしまいそう。



すると急に片山さんが、ばっと顔をあげた。


「違う!違う違う違う!!」

「なにが?」

「だから、今の…
…今 私が言ったこと、大目くん、聞こえてた?」


また、胸のあたりが騒ぎ出す。


なんだかいらいらする。
だって、今の片山さん…


『大目くん、どきどきした?』


って聞いてるみたいで……
見透かされてるみたいで、くやしい。


「…ううん。なんて言った?」


くやしまぎれに、嘘をついてみる。
すると片山さんは、ほっとしたように顔を赤らめ、
僕の目をちらちらと見ながら話し出した。



「あの…ね。

嘘に聞こえるかも、しれないけど……


聞いて…くれる…?」