「…誰だった?」
できるだけ落ち着いた声を出すように気をつけながら聞いてみる。
なんでこんなにどきどきするんだろう。
女の人から電話なんて、それでも数は少ないけど、
沙耶か藍耶か母さんか、
佐々木さんかもしれないのに。
…なんで最初に、
片山さんが浮かんだ?
ららちゃんは僕の表情をじーっと観察してから、
にこっと笑って口を開いた。
「え〜っと、誰だったかなあ?
たしか…
カタヤマさん?」
その言葉を聞いた瞬間、僕の中で何かが溢れ出した。
なんだ…
なんだ、この気持ち。
どんなにおさえても、笑みが零れてしまいそう。
とにかく、はやく…
はやく、片山さんの声が聞きたい。

