「ごめんね、嘘ついちゃった」
公園のベンチに座り、僕は口を開いた。
本当はこんなことが言いたいんじゃない。
片山さんの気持ちを、確かめたい。
…なんで六哉に襲われてるのに、抵抗しなかったのか。
でも片山さんはそんな僕の気持ちに気付くはずもなく。
ただぷるぷると首を横に振った。
「それに…、梨柚って、呼んじゃった。…嫌だった?」
だから!
こんなことが言いたいんじゃないんだってば。
確かにこのことも重要だけど。
できればこれからも、「梨柚」って呼びたいから。
「全然、嫌じゃないよ」
…実際、そう言ってもらえて嬉しいけど。
…だけど!
もっと重要なことが、あるでしょ?
僕はそれを、片山さんに確かめなきゃいけない。
だけど僕は…
結構 臆病だったようで。

