「こんな暗いとこで、人通り少ないとこで、片山さんの足触って、
何してんの?六哉。」



六哉の顔はどんどん青ざめてゆく。
それに比例するように、片山さんの顔は赤くなってゆく。



「とっ…灯耶じゃん!
てっ、てゆうか、見ればわかるだろ、
付き合ってんだよ、俺たち!」



…もうしゃべんな、六哉。
これ以上お前がなんか言えば、俺はお前を、

殺してしまいそうだ。


ここに片山さんがいるから、そんなことはしないけど。
だって、片山さんをそんな危ないことに巻き込みたくない。


せいぜい感謝すればいいんだ。

ここに片山さんがいることと、俺の——

——…「片山さんを守りたい」って気持ちに。








そして僕は、ちらっと片山さんを見た。

片山さんの今にも泣きそうな瞳に、


「絶対大丈夫。
もう片山さんは
中2のころのことを苦しむ必要はないから」


って、伝えるために。