…火事場の馬鹿力って、どこにあるの?
逃げたくて、たまらないのに。
体中が麻痺して、動けない。
全部を思い出してしまった私は、ゆっくりとスカートの中に手を入れてゆく六哉を、ただ怯えながら見ていることしかできなかった。
そのとき、
「何してんの?」
聞こえてきたのは
私が恋する人の声。
私、今なら…
どんなベタな恋愛小説も、
やたらイケメンばっかり出てくるマンガも、
きれいなお姫様のおとぎ話も、
全部ノンフィクションだって言われても、信じられるよ。
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