大歓声の中、ステージの中央でスポットライトを浴びる人気シンガー。

その後ろでギターを弾きながら、会場を見渡す。

1万人以上の観客が曲に合わせて手を振り、歌っている光景は、何度見ても圧巻だ。

眩しいほどの笑顔で歌う人。

泣きながら一生懸命歌う人。

それぞれの想いや人生が今、歌声になって重なっている。

こうして音楽に包まれている瞬間は、まるで夢の中にいるような気がする。

夏音。君はあの日交わした約束を憶えている?

【お互い離れても音楽を続ける】

あの約束を俺は今でも守り続けている。

だから、今日もこうしてステージに立っている。

もう二度と逢えなくても、声が聞けなくても、触れられなくても。

今奏でている音は確かに君に届いていると信じて。