「結音、お疲れ様。最後までよく頑張ったな」

まだ余韻に浸っていたくて楽屋に戻らずにステージ袖にいた私に、由弦さんが声をかけてくれた。

その優しい笑顔と言葉に目頭が熱くなって、涙が溢れる。

「なんで泣いてるんだよ」

「だって、すごく感動して……」

涙が止まらなくなった私を、由弦さんが抱きしめてくれた。

優しい温もりにそれだけで心が安心する。

「俺も結音の歌にすごく感動したよ。これからもずっと結音の歌を聴いていたいって思った」

「これからもずっとそばにいてくれますか?」

「もちろん」

笑顔で即答してくれた由弦さんの顔がゆっくり近づいてきて、目を閉じる。

そっと唇に触れる優しい温もりに、心が虹色に染まった気がした。