突然そんなこと訊かれたって、困るよね。

でも、私はこの気持ちを伝えるって決めたから。

「由弦さんが夏音さんのことを忘れられないなら、夏音さんのかわりでもいいです。それでも私は由弦さんのそばにいたいんです。私は由弦さんのことが……」

“好きです”

突然、最後に言おうとした言葉が遮られた。

一瞬、何が起きたのかわからなくて。

由弦さんに抱きしめられているんだと気づくのに、数秒かかった。

「…由弦さん…?」

驚いて名前を呼ぶと、

「…“かわりでいい”なんて言うな…」

耳元に、低く掠れた声で切なそうにつぶやく由弦さんの言葉が聞こえた。

そして―

「仕事のパートナーとしてじゃなくて、ひとりの女の子として…結音のことが好きなんだ」

今度はそっと優しく囁くように言葉が降ってきて、もう一度、強く抱きしめられた。

温もりを感じながら、私も由弦さんも今、確かに生きていることを感じた。

初めて知った、想いが叶う幸せ。

それは、私にとって何よりも大きな奇跡。