突然の爆弾発言に、一瞬周りが静かになった。

「あ、愛歌ちゃん」

近くにいたスタッフが慌ててる。

「あ、ごめんなさ~い」

そう言ったものの、琴吹さんはあまり気にしている様子もない。

「色んな意味ですごいね、琴吹さん」

音羽さんが苦笑いしながら言った言葉に、私も無言で頷いた。

イベントスタッフや関係者がたくさんいる打ち上げの席であんなことを堂々と言えるなんて……。

「琴吹さんって、関係者の間ではワガママ歌姫で有名らしいよね」

音羽さんがジンジャーエールを飲みながら声を潜めて言った。

「ワガママ歌姫?」

「とにかく自分が一番じゃないと気が済まないっていうか。常に自分が注目されてないとイヤみたい。まあ、両親も人気アーティストだから、小さな頃からいろんなところでVIP待遇されてきたんだろうけど」

「……そうなんですか」

確かに、女王様体質っぽい雰囲気だけど。

ふと琴吹さんの方に視線を向けると、遠坂さんの隣に座って楽しそうに話している。

その光景を見て、なぜかほんの少しだけ寂しいような悲しいような気持ちになった。