イベント当日は朝から綺麗な青空が広がっていた。

会場はテレビ局の敷地内にある特設野外ステージで、今日は私を含め5組のアーティストが出演する。

中でも一番注目を集めているのが、今大人気の歌姫である琴吹さんだ。

今日集まっているお客さん達は、ほとんどが琴吹さんのファンらしい。

私の出番はトリを務める琴吹さんの前。

「鈴原さん、スタンバイお願いします」

スタッフから声がかかった。

「……はい」

琴吹さん目当てのお客さんに、私は受け入れてもらえるのかな……。

さっきまでの会場の様子を見る限り、かなり厳しい気がする。

そう考えると、途端に緊張とプレッシャーが襲ってきて、足が竦む。

「大丈夫だよ。鈴原さんは鈴原さんらしく歌えばいい」

隣にいた遠坂さんが、私の気持ちを察したようにそんな言葉をかけてくれた。

「そうですよね。ありがとうございます」

こんな風にさりげなく緊張を和らげてくれるところ、さすがだなと思う。