スタッフさんからの提案に頷いた私は、レコーディングブースに入ってマイクの前に立つと、目を閉じて精神を集中させる。

そして「お願いします」という言葉を合図に、歌録りが始まった。

歌詞ひとつひとつに想いを込めて歌っていく。

遠坂さんのギターのおかげで、良い歌が歌えている。

ラストまで歌い終えると、周りから拍手が起こった。

「結音ちゃん、今の歌すごく良かったよ~!」

「歌も今日の一発録りで良いんじゃない?」

ブースから出た途端にスタッフの方達からそんな言葉がもらえた。

「そうですね。社長にも聴いてもらってOK出たら今日のテイクでいいかも」

私も、今の歌はかなり自信のあるテイクになったから。

「今日は遠坂さんのおかげで、本当にいい歌が歌えました。ありがとうございました」

「いや、こちらこそ素晴らしい歌が聴けて本当に感動したよ。ありがとう」

私の言葉に、遠坂さんが笑顔でそう返してくれた。

初めての遠坂さんとのレコーディングはとても順調で、今からリリースが楽しみに思える素晴らしい作品になった。