夏音以上に好きになれる人なんていない。

大切だと思える人なんていない。

ずっとそう思ってきた。

でも、ごめんな。

今、俺には、一緒に音楽活動をして生きていきたいと思ってる人がいる。

これからもそばにいて支えていきたい、大切にしたいと思ってる人がいる。

彼女は、夏音と同じように何よりも歌うことを愛している。

だからこそ、一緒にいたいと思ったんだ。

夏音なら、その気持ちわかってくれるよな?

短い時間だったけど、俺は君を幸せに出来ただろうか?

俺は幸せだったよ。

夏音に出会えて、夏音に恋をして、一緒に音楽を学べて、幸せだった。

今まで本当にありがとう。

そう心の中で想った時、優しい風が吹いて―

“あ り が と う”

夏音がそう言って微笑んでくれたような気がした。