12月半ばのある日。
俺は、結音と一緒にある所へ行くことにした。
ある所とは、夏音が眠る場所。
今日は、夏音の月命日だ。
毎年ひとりでも必ず墓参りに行っているけれど、今年は一緒に行ってほしい人ができた。
隣で、結音が切なそうな苦しそうな表情で空を見上げている。
夏音がいなくなるまでは、明日が来ることは当たり前だと思ってた。
だから、言い訳をして、本当は今できることを先延ばしにしてきた。
もう8年前と同じ後悔はしたくない。
今できることは、今やる。
今伝えたいことは、今伝える。
「だから、決めたよ。俺は、生きている限り音楽を続けていく」
「……え?」
「これからも、結音と一緒に音楽活動を続けていきたい」
そう。これが、今の俺の正直な気持ちだから。
そして夏音が見守る中、結音と音楽を続けるという約束の握手を交わした。
夏音。俺は、確かにきみのことが心から好きだった。