「ねぇ、
今回も有島くんが1位だよ!」
「1年の時からずっとだよね〜。
成績だけじゃなくて、性格もいいし〜」
「ねー!
天は二物与えてるじゃんねー!」
廊下の掲示板に貼られた、前期の期末テストのランキングを見ながら盛り上がる女の子たち。
それを耳に入れつつも、私はそのランキングの1位の欄に書かれた名前に釘付けになっていた。
「また…」
また、私じゃなかった。
また、『有島律希』くんだった。
2位の欄には『坂井ゆず』の文字。私の名前だ。
また……有島くんに勝てなかった。
ううん。並べなかった。
「坂井さん2位じゃん!すごいねー!」
隣にいた女の子が私に気付いて拍手してくれる。
「あ…うん。
けど、1位との差、すごい」
「たしかに!
有島くんの点数、ほぼ満点だもんねー」
1位と2位の差って、こんなに大きい。
いつになったら、有島くんに追いつけるだろう。