クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です


震える体から絞り出された声はか弱くて、今にも消えてしまいそう。

でも、もう私の人生が終わったと思ったら……泣くことしか出来ない。


「じょ、うがさき……先輩……っ」


こんな事になるくらいなら、家に帰っておけばよかった。

先輩と女の人が何をしてようと、耳栓して部屋にいれば良かった。

それに……

同居初日。
あのまま先輩と、一夜を過ごしておけばよかった。
こんな形で終わるくらいなら――

と後悔ばかりしていた、


その時だった。



「へぇ。アンタって、意外によく泣くんだね」



「……え?」

聞き覚えのある声に、そろりと目を開ける。

すると暗闇だというのに。

街灯を受けキラキラ輝く薄茶色の髪が、私の視界に飛び込んできた。