クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です


すると響希さんは「シないからね」と。

まだ何も言ってないのに、私のドキドキを一刀両断した。


「笹岡の事があって凪緒も混乱してるだろうし、今日は何もしないつもり。

でも……もし俺が変なことをしたら、凪緒が俺を止め、」

「響希、さん……」

「なに?」


お姫様抱っこをされたまま、先輩の袖を、ちょいちょいと引っ張る。

こんな事を言ったら、引かれるかもしれないけど。

だけど、どうにも抑えられそうにないから……素直に言いますね。


「久しぶりに響希さんに会えたことに加え、両想いだと分かった日に、一つ屋根の下で二人きりなんて……。

――先に謝っておきます。

襲ってしまったら、ごめんなさい……っ!」

「……は⁉」


顔を真っ赤にした私を、真っ赤な顔で見下ろす響希さん。

「そう言えば〝もっとキスして〟とか言う子だった」と呟いた先輩は、歩く足をピタリと止めた。