♥︎+200から交わすlove



「助けて、響希さん!」

「っ!」


大きな声で叫んだ時。
笹岡の手が、ピタリと止まった。

怖い顔をしているから、もしかしたら殴られるかも――と目を瞑ったけど、私の顔に触れたのは、笹岡の震える手。

まるで赤ちゃんでも触るように。壊れないように、壊さないように。ゆっくり優しく触れていた。


「さ、さおか……?」

「なぁ、丸西。やっぱり婚約破棄されちゃえよ」

「え――」


そんなことをされたら、私もう生きていけないよ。

先輩ナシじゃ、どうやって毎日を楽しく過ごしていたか思い出せないもん。

私にとって先輩は、なくてはならない、大切な人なの。


「婚約破棄だけは……嫌、だなぁ」

「丸西……」


ポロリと涙を流したのを見て、笹岡は困った顔をした。

かと思えば「どっちか選べ」と、二択を迫る。