クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です

「ダメなんです! だって私、優しくて甘い先輩がいいって、そう思っちゃったから。

こうして城ケ崎先輩の婚約者でいられるだけで幸せなのに……」

「え、」

「私こそ、意地はってすみませんでした。先輩と仲直りしたいです」


涙をふいて、ペこっと頭を下げる。

すると、同じ時刻。

先輩のスマホが静かに鳴った。「ちょっとごめん」と、なにやら急ぎらしい。


「電話なら、私ここから、」

「ううん、そばにいて。ただのメールだから」

「は、はい……っ」


そばにいて――なんて。

言った本人はスマホを見て眉間にシワを寄せてるというのに、聞いた私はゆでだこ状態。

サラッと胸キュンセリフいうの、心臓に悪いのでやめてください……。


「――ん、終わった」


スマホをポケットに入れ、私を見る先輩。その顔に浮かぶ、ダークな笑顔。

おや、この笑顔の意味は……?