クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です

「ひゃ!」


コツンと、頭に軽いこぶし。
続いて「はぁ」というため息。

この二段コンボする人物を、よーく知ってる。


「わ、わざわざ委員会を抜け出して、私を怒りにきたんですか? 城ケ崎先輩」

「……そうだね、怒りに来た」


振り向くと、眉間に皺を寄せた城ケ崎先輩。どんな顔でも「ほぅ」とため息が出るほどカッコイイ。


「……泣いてるかと思った」

「え?」

「いや……、何でもない」

「?」


泣いてるって……もしかして先輩、私を心配してくれたの? お説教しに来たんじゃなくて?

すると、教室に入った先輩がドアを閉める。そして、私と向かい合って座った。


「何を言われたか知らないけど、さっきの話、気にしなくていいから」

「さっきのって……。あ、笹岡の話ですか?」

「そう」


気にしなくていい……って。
まさか先輩、私を慰めてくれてる?


「先輩が優しい……」

「人が心配してるっていうのにねー?」

「わー、ギブです。ギブ!」


頬をつねられ、痛くて両手を上げる。

その時、無意識に「だって朝は怖かったから」と言ってしまった。


「……俺が怖かった?」