「え……」
「時山先輩の家に行きたいなんて、微塵も思わなかった。でも電話の向こうで……凪緒の声が聞こえた気がした」
「それが理由で、時山先輩の家に行ったんですか?」
「……もし凪緒が危ない目に遭ってたらと思うと、どうしても放っておけなかったんだよ。それだけ」
「!」
あの時、私の心配をしてくれてたの?
私を想って、あぁ言ってくれたの?
――わかりました。家の前で待っておけばいいんですね?
私、見捨てられたわけじゃなかったんだ……っ。
泣きそうになるのを、唇を噛んで我慢する。すると先輩は私の所まで戻って来て、ポンっと。私の頭に手を置いた。
「今回は何もなかったからいいけど、今後は気を付けて。もう分かったと思うけど、時山先輩は手段を選ばないから。
時山先輩、それと笹岡――この二人には近づかないこと。一応お守りはつけたけど、万能じゃない」
言いながら先輩は、私の首を這うように撫でた。
触れるか触れないかの絶妙なタッチに、思わず肩がはねる。
くすぐったいのもあるし、昨日の熱いキスを思い出してしまって――
「あ……、ぅっ」



