クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です

「え……」


前を向いたまま、背中で私に問う先輩。

体の線は細いのに、広い肩幅と大きな背中。あの体に、昨日私はずっとお姫様抱っこされてたんだ……。って違うちがう。今は質問に答えなきゃ。

ドキドキする胸を押さえながら、少し前の事を思い出す。

先輩の言ってる日って、あの日のことだよね?


――先輩は今朝まだしんどそうで、んっ!!
――あなたは黙ってて


「いました。時山先輩と一緒に……」


すると先輩は「ふぅん」と、振り返って私を見た。

そして――


「何もされなかった?」と。


さっきまでの冷たい雰囲気がウソのように、優しい言葉を私にかけた。