クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です

「……っていうかさ、〝勉強〟ってなに?」

「え?」

「昨日お父さんから〝実家で何をしていたかは本人から聞いて〟って言われた。家にも帰らず一週間、何を勉強してたの?」

「それは、ですね……」


別に隠す事じゃない。

だって「先輩の役に立ちたくて会社のことや経営を勉強した」って言っても、先輩は怒らないはず。

だけど……言いにくい。
だって先輩、既に怒ってるんだもん。


「いま先輩が怒ってる理由を話してくれたら、私も話します」

「そんな子供みたいな事いいから。早く言って」

「こ、子供じゃないですっ。そう言われるのが嫌で勉強したんですから!

先輩が怒ってる理由を教えてくれないなら、私も教えてあげません!」

「そんな駆け引きしてる内は、まだまだ子供だよ」

「……っ」

「……」


空気が重い。朝の甘いムードは、一切の雰囲気を残さず散ってしまったらしい。


「あ、学校……」


マンションから学校は近い。
数分も歩けば到着する距離だ。

何か話さないと、この空気のまま離れ離れになってしまう。

それは嫌だ――って思うのに、何も言葉が出ない。