クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です

「……別に」

「うぅ……」


答えてくれなきゃ分からない。

だけど、先輩の機嫌がどうにも悪い。っていうか、なんか私を避けてるというか、逃げてるというか。

うぅん……こうなったら仕方ない。話題を変えよう。


「今さらですが、昨日わざわざ家まで迎えに来てくれて、ありがとうございました。ちょうど勉強最終日で、タイミングバッチリだったんです」


すると「知らないの?」と先輩。


「凪緒のお父さんから、事前に電話を貰ってたんだ」


――響希くん、凪緒はウチにいるよ。会社の用事で一週間泊まる事になってね。急に済まないな


「だから迎えに行ったんだよ」

「そう、だったんですね……」


そっか。お父さん、先輩に電話してくれてたんだ。

私は安井さんに伝言を頼んだから、それでいいと思ってた。私がいなくても心配する先輩じゃないだろうし、って。

だけど……、そっかそっか。

先輩はお父さんに言われてたから、昨日、家に来てくれたんだね。


「私はてっきり、先輩が自ら……いえ、何でもないです」