クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です


「待ってくださいよ、先輩~!」


五分で身支度を終えて、外に出る私。

すると先輩はちょうどエレベーターのドアを閉めたところで、運悪くはじき出されてしまった。

エレベーターが往復するまで時間がかかる。

そうだ、こういう時のために階段! 体力には自信ないけど、使うしかない!


「待っててください先輩、今いきますー!」


拾った紙きれをポケットに入れて、長い長い階段を必死に降りる。

そして火事場の馬鹿力のおかげで、エレベーターの先輩とほぼ同時に一階に着いた。


「はぁ、はぁ……先輩、ちょっと、お話し、しましょう」

「……」


必死に先輩を追いかけたというのに「何バカな事してんの」と言わんばかりの冷めた目。

うん、いつもの先輩にバッチリ戻ってる。


「わ、私……何かしちゃいましたか? 何か失言があったとか!」