安井さんに別れを告げた後、ついに時山家へ足を踏み入れる。
たくさんの使用人さんに見守られながら、とある部屋の前まで案内された。
コンコンッ
「彩音お嬢様。お客様をお連れしました」
仕様人さんが、ドアの取っ手へ手を伸ばす。
だけど、こちらが開ける前に、中から思い切りドアが開いた。
バンッ
「きたか、凪緒……」
「せ、先輩?」
ドアを開けたのは、顔を赤くさせ、大量の汗をかいた城ケ崎先輩。風邪をこじらせたのかな、息遣いがかなり荒い。
それに……なんだか目がうつろ。今にも寝てしまいそうな先輩の肩を、急いで支えた。
「先輩、体調が悪いんですね? 体が熱いっ」
「気にしなくて、いいから……」
すると、部屋の奥から声が聞こえた。だんだんと近づく声に、先輩は眉間を顰める。
「あらぁ、つまんない。もう来ちゃったの?」



