「え、あ、す、すみません……!」
「仮にも婚約者を叩くなんてビックリ」
思い切り叩いてしまった――というのに先輩は痛がるどころか、ニヤリと笑うだけ。
しまいには「おもしろ」なんて言って、覆いかぶさったまま、私の頬に手を添えてきた。
「ちょっと気が変わった。さっきの女性に代わって、アンタが俺の相手する?」
「は⁉ 絶対にイヤです!」
絶対に、の所を強調した私を見て、先輩の笑顔が曇る。整った顔だけに、それだけで怖さ抜群。
だけど、私だって怒ってる。
ビンタもしちゃったし、あとは野となれ山となれ。この際だから、言いたいことは言っておこう!
「学校での王子様バージョンの先輩ならまだしも、こんな汚らわしいクズ男と、あんな事やこんな事するなんて……絶対にイヤ!」
「ねぇ、さっき俺を〝クズ男〟って言った?」



