隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。

 あまりにも純粋な感想に心を抉られるのを感じながら、わたしはよろよろと三田先生の元へと戻る。


「お。 越谷おかえり。 サンキュー……てどうした。 ゾンビみたいな顔して」

「ゾンビ……ですか……」

 
 もちろん、自分がそんなに美人でないことはずっと前から知ってる。 なんなら前世から知ってる。
 でもあんなはっきり〝微妙〟と言われたことはなかったからさすがにショックで、ちょっと泣きそうになる。

 そのとき、近くでコーチと選手がビデオカメラの動画を確認していて、その動画の端に半目で映りこむ自分が見えた。


「……!」


 なんてブサイクなんだろう。
 それになんか髪がぼさぼさでモサい。

 その女子力のかけらもない姿は、〝微妙〟という単語すら優しい言葉のように思えてきてしまう始末。

 自分の中にあったなけなしの自信が、ガラガラと音を立てて地の底に落ちていく。


「みんな~チョコミルク持ってきたよ~」


 そこへやってきたアイドルのような可愛さの、まりか先輩。

 ファー……と眩しい光と共にお花が舞い飛んでいく。

 部員たちが一斉に顔を明るくした。