隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。

「……んんんっ、ゴホンッ。 あーカラーコーンの予備ってほんとにここにあるのかなぁ~」


 あえて大きめの独り言を言ってみせると、中から二人がバタバタと慌てふためく気配がして、少し待ってから、わたしは扉を開く。

 そこには、物を移動してみたり片づけをしてみたり、THE・よそよそしい先輩たち。


「……あっ、お疲れ様でーす!」

「あ~越谷さん。 お疲れ~」


 まりか先輩がきれ可愛い笑顔で答える。

 その横にカラーコーンを見つけて、わたしはヘラヘラ笑いながらそれを取って急いでその場を離れた。

 そういえば少し前から白井部長も忘れ物したとか言って抜け出してた……! そういう関係!?

 先輩、わたしにはうつつ抜かす暇ないとか言っときながら……! なんだかすごくモヤモヤする!


 その足でグラウンドに戻るとちょうど休憩に入ろうというところで、わたしに背を向ける上級生の話し声が聞こえた。


「残った一年マネ、微妙じゃね?」

「女子にしては背デカいしな。 せっかくならまりかみたいな小動物系の方がよかったなー」


 そこで立ち尽くすわたしに気付いた先輩が「おいっ」ともう一人の先輩を嗜めて、二人は気まずそうにどこかへ行ってしまった。


 踏んだり蹴ったりとはこのことか。

 わたしがいったいなにをしたと言うんだろう。