隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。

 
 そこで集合がかかって、グラウンドに散らばって練習していたサッカー部員が一斉にゴール前に集まる。
 私たちも小走りで向かって、言われるがままコーチの横に並んだ。


「先生は少し遅れるそうだ。 じゃあ今日から仮入部のマネージャー、挨拶して」


 呼ばれた私たちは前に出て順番に名前を言って、よろしくお願いします!と挨拶をした。
 一人言い終わるごとに部員たちが拍手をしてくれる。
 部員たちは左から三年生、二年生、一年生の順に並んでいる。
 確かに一年生に比べると上級生は背が高くて大人っぽくて、どこかあか抜けていてかっこよく見えた。

「越谷ひまりです! よろしくお願いします!」


 ドキドキしながら言って頭を下げると、他の二人と同じように拍手をしてくれる。
 その中に、声が混ざって聞こえた。

 
「うーん、50点」


 それは上級生の方から。
 
 それに「おい」とか「平均点」とかぼやきながらクスクス笑う声がする。

 ……なんの点数かよくわからないけど、あまりいいことじゃないことはわかる。

 なんだかとっても嫌な感じだ。

 コーチがコホンと咳払いすると、ヒソヒソ声はなくなった。


「えー、新人三人もいて教える阿見も大変になるだろうから、手が空いてるやつは率先してマネージャーを手伝ってやるように」

「「「はい!」」」


 部員たちの大きな声が空にこだまして、練習が始まった。

 さっき言われた点数のことが気になって仕方なかったけど、今やるべきことに集中しようと首を横に振った。