隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。

「うん、こんなところかな~」


 まりか先輩がひと通りのことを教えてくれて、一息ついた。

 結構やること多いんだ……でも四人いるし、なんとかなるよね。


「じゃあそろそろ集合になるからグラウンドの方に行っとこう~」


 まりか先輩が言って「はい!」と頷き、四人で揃って向かう。

 そこでまりか先輩がわたしの肩を叩いた。

 他二人は気付かずに私たちを残して歩いていってしまう。

 なんで私だけ?と不思議に思いながらまりか先輩を見ると、ニコッと笑顔を向けられた。

 わからないままつられてヘラッと笑う。

 まりか先輩、華奢で色白で肌きれいだし、なんかいい匂いがする。

 ほんとにアイドルみたいに可愛いなぁ。 アイドルでもこんなに可愛い人なかなかいない。 あ! もしかして、これが顔面国宝?

 なんて考えてると、その顔面国宝が平凡顔のわたしにグッと距離を近づけたので、ドキッとする。

 そして、耳元で囁いた。


「言っとくけど、男にうつつ抜かしてる暇ないから」


 氷のように冷たい声音に、心臓がドクン、と跳ねた。


「え……?」


 かたまる私にまりか先輩はニコッと可愛い笑顔を残し、歩き出す。



 ……男にうつつ抜かしてる暇ないから?

 男にうつつ……え?


 あまりにもギャップあるまりか先輩の言葉に、何が起こったのか理解できずに放心する。


 『その残ったひとりが問題児とか』


 唐突に美紗ちゃんが言ってたことを思い出して、背筋が凍った。

 まりか先輩、もしかして、てかやっぱり、怖い人なんですか……!?