隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。

「わたしはサッカー観戦が好きで、でも運動苦手なので、応援したいなぁと思って来ました!」

「わたしは将来誰かの支えになれるような仕事がしたくて、マネージャーの経験が身になるといいなと思って来ました!」


 二人は推しメンのおの字も出さず、まともな動機をスポドリのCMみたいな爽やかさで答えた。


「うんうん、なるほど~。 あなたは?」


 まりか先輩が、私を見た。

 いつの間にか船橋くんをはじめとする一年生の部員たちも部室の中からこちらの様子をじっとうかがっていて、妙なプレッシャーを感じる。

 やばい、なにも考えてなかった……!

 いいや、正直に言っちゃえ!


「はい! サッカー部の彼氏が欲しかったので来ました!」


 ピキッとその場の空気が凍る気配がする。
 
 あ やっぱり駄目だったかもしれない

 わたしの背中を、冷や汗が伝った。