隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。

 後ろから押してくる二人にせっつかれて、おそるおそるドアをノックしてみる。


「すいませーん、どなたかいますかー?」


 返事が聞こえない。

 わたしは耳をそばたてようと、顔をドアに近付けた。


 次の瞬間、ガチャッ。


「んぶッ」


 突然開いたドアに、わたしは顔の左半分を強打した。


「くぅ……っ」


 痛い!それなりに!

 思わずよろりと後ずさる。
 

「あ……え……?」


 中から出てきたのは、サッカー部の練習着を着た男の子だった。

 背はわたしと同じくらいで、サラサラな黒髪と二重幅のきれいなキリッとした目が特徴的なかっこいい男の子だ。

 ……あ。 この男の子、入学式で見た気がする。 同じ一年生だ。 そういえばサッカー部の一年生は、入学前の春休みからもう練習に参加していると聞いたことがある。

 男の子は頬を押さえるわたしに気が付いて、目を丸くする。


「! すいません! 大丈夫っすか」

「あっ、はい!大丈夫です!」


 頬の痛みをこらえて笑ってみせると、男の子は「ちょっと待ってください」と奥に消えた。

 かと思えばすぐに戻ってきて、わたしの頬に保冷材の入ったタオルをあてがう。


「!」