隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。


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 城華学園高校のサッカー部は、全国大会常連の強豪校だった。
 〝だった〟と過去形なのは、今はその質が落ちてここ数年全国出場を逃していて、お世辞にも強豪校とは言えなくなってきたから。

 いなくなったマネージャーが原因だと噂してる人もいるけど、実際がどうかはわからない。

 そんなサッカー部のマネージャーになろうとしているわたしは、制服からジャージに着替えて小走りでサッカー部の部室に向かっていた。

 質が落ちたとは言え、部員たちはきっと強豪校を復活させるべく今も頑張ってるはず。

 彼氏が欲しいって不純な動機だけど、まずは全力で選手をサポートできるように頑張りたい。

 そして到着した部室の前で女の子が二人、仲良さそうに身を寄せ合って話し込んでいるのを見つけた。 ジャージが水色だから、たぶん同じ一年生。

 わたしは期待に胸を膨らませて、笑顔で駆け寄った。


「こんにちは! サッカー部のマネージャー志望ですか!?」


 二人同時に私を見て、パァ、と表情を明るくさせる。
 ふたりとも可愛らしい女の子で、素朴な雰囲気の女の子だ。


「そうだよー! あなたも!?」

「うん! わたし、越谷ひまりです! 一緒に頑張ろうね~!」

「ひまりちゃん! よろしく~!」


 よかった、二人ともいい意味で普通でいい子そう。
 一人でサッカー部へ行くことに心細さを感じていたわたしは、ほっと胸をなでおろす。


「それで、ひまりちゃんは誰推し?」

「え?」