隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。

 わたしはスクールバッグからペンと申請書を取り出した。

 その間に優成は席から立ち上がり教室の端にいる男子たちの元へ行き、なにやら楽しそうにしている。

 その姿はやっぱり普通の男の子で、昨日強盗犯に馬乗りになっていた彼とは思えない。

 結局、現世の優成って何者なんだろう。

 そこまで考えたところで、美紗ちゃんの視線を感じる。

 あっ、そうだ申請書書くんだった。

 そぞろになっていた気を紙に戻して、わたしは申請書の空欄を埋めていく。

 横でしゃがんだ美紗ちゃんは、わたしの走るペン先をぼんやり眺めて言った。


「ひまり、ほんとにサッカー部のマネージャーすんの? 二年のマネージャー最初7人入ったのに6人辞めたって噂だよ」

「え!?ほぼ全員!?なんで!?」

「その残ったひとりが問題児だとか」

「ええ……他6人全員辞めさせちゃうなんて、どんな問題児?」

「さあ」

「うーん……でもサッカー部のマネージャーになるのが夢だったし……仮入部してみてから考えるよ!」

「そ。 無理しないでね」

「うん!」


 何事もやってみないとわかんないし、その問題児な先輩とだって意外に仲良くできるかもしれないし!

 やるだけやってみよー!