「ひまりー……て、お取り込み中?」


 後ろから眠そうに声をかけてきた美紗ちゃんが、わたしたちを見て目を細めた。


「いじめられてるんだよ! 助けて美紗ちゃん!」

「えーいじめてんのはひまりでしょー暴力はんたーい」


 ナチュラルに名前呼びをしてくる優成に、条件反射でまた顔が熱くなった。


「っ、やっぱりなし!名前呼びなし!」

「やだでーす」


 変な日本語で煽ってくる優成になんて返そうか考えてるところで、美紗ちゃんの目がこれ以上ないくらい細くなってることに気がつく。


「え、あ、美紗ちゃん、なにかな……!?」

「……なんか仲良くなったね?」

「え!?うそ!?」


 仲良くなれないって思ってたところなのに!?


「仲良しだよねー昨日仲良くなりたいって言ってくれたもんね」


 そう言って私にニッコリする優成がまたイケメンで、声が出せなくなる。 そんな私を見て美紗ちゃんが「ほう?」とまた目を細める。


「ちょっ、美紗ちゃん!違うよ!普通に!普通にね友達としてね!!あっ、てか美紗ちゃん、用事あったんじゃないっけ!?」

「あ、そうだった、申請書出しに行こうと思って」


 美紗ちゃんは一枚の紙をわたしに見せてくれる。

 そこには【仮入部申請書】と題されていて、その下の枠内には美紗ちゃんの手書きでクラス、名前と【写真部】と書いてある。


「一緒いく?」

「行く!あっ、いま書くから待って!」

「うぃ」