え……なに……?

 なんでそんな見つめてくる?

 じわじわと、前世で初めて目があった時と同じ体の異常がわたしを襲いはじめる。


 やばい、やばいやばい。

 このままだとわたし、また……
 

 不意に微笑んだ優成が、わたしだけに聞こえるように甘い声を囁いた。


「――……ひまり」


 ドサドサッ。

 わたしの手から、教科書が雪崩のように滑り落ちた。


「……ん゙っ」


 優成が顔を伏せて肩を震わせ始める。


「え」


 そして、動けなくなったわたしを嬉しそうな笑顔で見た。
 

雑魚(ざこ)でかーわいー」

「!?」


 ハニトラ!?


「っ、も、なんっ、〜〜!!」


 反撃の言葉が思いつかなくて、代わりにノートでベシベシと優成を叩く。


「痛い痛い」


 全然痛くなさそうな優成は、やっぱり楽しそうに笑っている。

 っ、ムカつく……!