隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。

「……! もしかして君が犯人を!?」

「へっ?」


 機動隊の人の視線が私の右手の拳銃にあってハッとする。


「ちっ、違います違います! 私じゃなくて……っ」


 この人ですって言おうとしたけど、いない。

 見渡しても酒々井くんがいない。


「っ、すいません! すぐ戻ります!」

「え!?ちょっと君!」


 私は銀行から飛び出して、騒然とする街の中に酒々井くんの姿を探す。

 銀行の中をのぞこうとする野次馬たちと、それを制止する警察たちの中を、すいすいとすり抜けていく酒々井くんの背中を見つけた。

 駅の方に向かってる。

 私は急いで人混みをかけ分けながらそのあとを追いかける。


「待って、酒々井くん!!」


 私の声に気付いた酒々井くんは駅の階段を登ってすぐの柱近くで足を止めて、振り向いた。


「ん?」


 駆け寄ってくる私に酒々井くんはキョトン顔で、まるで何事もなかったかのような佇まい。

 それでも口隅やこめかみには痛々しく血が滲んでいる。