隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。

「スマホ貸してくんない?」

「え?」

「スマートフォン」

「ぁ、は、はい」


 私は慌ててポケットからスマートフォンを取り出して酒々井くんの手のひらに乗せる。

 酒々井くんは親指をスマートフォンの画面上でスス、と滑らせてから耳に当てる。

 そして、なぜか裏声で話し始めた。


「……あ、えっとぉー、〇〇銀行の人質なんですけどぉー、いま犯人丸腰なんで助けにきてくれますかぁ?」


 そこまで言うと酒々井くんは通話を切って、私の左手にスマホ、右手に拳銃を持たせた。


「あとよろしく」

「え」

「俺バイトあるから。あ、俺が犯人をのしたって警察に言わないでね。めんどいから」

「え!?」


 酒々井くんは立ち上がって『じゃ』と私に手を挙げた。

 次の瞬間、


「突入ー!!」


 勢いよく機動隊が突入してきた。


「いたぞ犯人!倒れてる!意識確認しろ!」

「君!大丈夫か!?」


 機動隊はすぐさまそこに転がる犯人と、近くで放心する私を見つけて駆け寄る。