隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。

 私はどこかで聞いた鼻歌を口ずさみながら、体を温めようと小走りで昇降口に向かう。

 もう酒々井優成に無駄に怯えるのはやめよう。

 今は二〇二四年で、ここは平和の国・日本で。

 前世では皇女って立場もあったし銃だって手に入れやすい世界だったけど、酒々井優成は普通の男子高校生で、私もなんの変哲もない普通の女子高校生なんだから。

 もう銃を突きつけられることだってない。

 そんなことより、高校生活を楽しもう。

 だって私には、高校生になったらしたかったことがある。

 それは、サッカー部の彼氏を作ること!

 なぜサッカー部かと言うと、大好きな少女漫画『マネジメント・ラブ』の影響だ。

 一生懸命頑張る彼を支えるマネージャーっていうシチュエーションが最高で、ヒーローの『俺だけのマネージャーになって』ってセリフがもう……! たまらない!

 おかげでサッカー部って聞くだけで胸がときめいてしまうようになった。

 もしサッカー部の彼氏が出来たら部活終わり一緒に帰ったり、試合で彼のシュートが決まったらこっそりアイコンタクトしたり、試合後に『ご褒美ちょうだい』とか言ってキス、ねだられちゃったり……!?

 キャーッ! 想像しただけでドキドキしてくる!