いきなり前世がどうの、なんて言っても信じてくれないかぁ……。
私だって美紗ちゃんの立場だったら『疲れてるのかな?』くらいにしか思わない。
それに毎朝寝坊して遅刻ギリギリダッシュするようなそそっかしい女子高生の前世が、お城のお姫様って。
キャラじゃなさすぎて自分でも笑っちゃう。
「あ、見て!酒々井くん走るって!」
「え!見たい」
近くにいた女の子たちのはしゃぐ声に、思わず顔をあげた。
ジャージをおしゃれに着こなすモデル体型の酒々井優成が、50メートル走のスタートラインに立っている。
風が吹いて酒々井優成の柔らかそうな黒髪が揺れると、やたら整った顔があらわになる。
女子たちからしっとりしたため息が漏れた。
「やばい……ほんとかっこいい」
「えー?目つきちょっと怪しくて怖くない?」
「それがいいんじゃん!」
「彼女いるのかなー」
「はい!立候補!」
「ずるい!私も!」
「はい地獄絵図〜。みんな平等にアイドル枠でしょ~」
あははっと楽しそうに笑いながら去っていく女の子たちの背中に、美紗ちゃんが「出た、女子の『抜けがけすんなよ』協定」とぼやいた。
私だって美紗ちゃんの立場だったら『疲れてるのかな?』くらいにしか思わない。
それに毎朝寝坊して遅刻ギリギリダッシュするようなそそっかしい女子高生の前世が、お城のお姫様って。
キャラじゃなさすぎて自分でも笑っちゃう。
「あ、見て!酒々井くん走るって!」
「え!見たい」
近くにいた女の子たちのはしゃぐ声に、思わず顔をあげた。
ジャージをおしゃれに着こなすモデル体型の酒々井優成が、50メートル走のスタートラインに立っている。
風が吹いて酒々井優成の柔らかそうな黒髪が揺れると、やたら整った顔があらわになる。
女子たちからしっとりしたため息が漏れた。
「やばい……ほんとかっこいい」
「えー?目つきちょっと怪しくて怖くない?」
「それがいいんじゃん!」
「彼女いるのかなー」
「はい!立候補!」
「ずるい!私も!」
「はい地獄絵図〜。みんな平等にアイドル枠でしょ~」
あははっと楽しそうに笑いながら去っていく女の子たちの背中に、美紗ちゃんが「出た、女子の『抜けがけすんなよ』協定」とぼやいた。



