優成は、あははと笑ってデザートのブルーベリーヨーグルトを口に含んだ。


「色々と、それはもう色々とヒヤヒヤしたよ!」

「しょうがなかったんだよ。 テロリストに俺が公安だってバレたら、今回の潜入作戦全部おじゃんになって皆殺しされるところだったし。 それにひまり、すぐ顔に出るし」

「ぐ……」


 確かに、と納得して押し黙る。 そういう意味でも、わたしは優成に守ってもらってたんだ。

 なんにせよ、身を挺して戦ってくれた優成はかっこよすぎたし、わたしの中の優成への気持ちはまたさらに加速してしまって、今コップの水を飲むその仕草すら愛おしく見えてきゅんきゅんしちゃってしょうがない。

 優成もわたしのことを好きでいてくれてるんだってわかったけど……わたしの気持ちがこんなに大きくなってること、優成に知られたら引かれちゃいそうだ。


「あ、そうだ。 俺が公安だって他の人には内緒にしてね。 十六歳の公安って特例で、本来はありえないから世間的にまずいんだよ」

「あ、わ、わかった」


 あの日は驚きの連続だった。

 高校生の公安警察がいることも、城華学園がテロの標的にされていたことも、三田先生がその首謀者だったことも。
 

「……三田先生って、どうなるのかな」

「さぁ」

「さぁって……、優成、興味ないの?」

「うん」


 ちょうど全部食べ終えた優成は、手を合わせてごちそうさまをする。


「そんなことより、自分たちのこれからの方が興味ある」


 そう言ってわたしに正面から向き合って、二ッと口角をあげてみせる。


「っ……、」


 たったそれだけでまんまと顔を熱くさせるわたしに、優成は大人びた笑みを浮かべると、


「つーかほんとウザかったわ、越谷ひまり」


 予想外なセリフを言う。