隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。

「だめだ、その人は危険だよ」

 駄目な理由をルーカスに話して、もう近付いてはいけないと説得する。

 対してルーカスはあははっと心底おもしろそうに笑った。

「ヨルゴ、それはただの噂だよ。 マシュー男爵はとても親切な人だ、そんな悪い人なわけがない。 僕たちの身の上を聞いて、涙を流して同情してくれたんだよ。 兄弟とも養ってやるからおいでって言ってくれたんだ」

 俺は呆れた。 どこまで人がいいんだ。

「ルーカス、ダメだよ。 火のないところに煙は立たない。 マシューの元に行くのは危ないよ」

 ルーカスは頑なに理解を示さない俺にしびれを切らして「もういい」と背を向けた。

「俺ひとりで行くよ。 安全だってわかったらお前を迎えに行く。 な? それだったらいいだろ?」

「ルーカス! ダメだって!」

「大丈夫!」


 ルーカスは振り返って、こっちがつられるくらい満面の笑みを向けた。


「神様はちゃんと見てくれてるんだって証明してみせるよ!」


 俺は、それ以上ルーカスを引き留める気になれなかった。

 多分、証明してほしかったんだ。

 正しい兄がちゃんと報われる世界であることを。

 でも、残念ながらそれが証明されることはなかった。