隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。

「……とりあえず座ったら?」


 隣の人殺しにアドバイスをされて、反発したい気持ちが湧きつつも、立っていても仕方ないことを悟って大人しく席につく。

 先生もクラスメイトもみんな通常運転、何事もなかったかのように入学式の日をやっている。

 ここに、笑顔で躊躇なく人を殺めるとんでもない人がいると言うのに。

 冷や汗の止まらない私を、まじまじと見つめてくる冷や汗の原因の人。


「黒髪も似合いますね、お姫様」

「……!」


 彼の整い過ぎた顔は現世でも健在で。

 小首を傾げてそんなことを言われてしまえば、何も知らない女子ならコロッと落ちてしまうに決まっている。

 絶対に落ちるわけにいかない私はここで反応してしまったら負けだと、無視を決め込むことにする。


「つーか俺いま思い出したんだけど、そっちも?」

「……」

「ははっ。 すげぇ、こんなことあるんだ」


 私の無反応なんかお構いなしに屈託なく笑う彼は、どこからどう見ても、普通の男子高校生だ。

 わからなくなってきて、恐る恐る聞いてみる。