隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。

「っ、先生!先生!」

「はい、先生ですよー」


 己の命の危機に必死な私と反対にゆるーい返事をする三田先生は、これから始まる入学式の段取りを黒板に白いチョークで書き始めている。
 

「席変えてください!てかクラス変えてください!!」

「あーわかるなぁ。高校デビューで早く友達を作りたい気持ち」


 先生は一通り黒板に書き終えてチョークを置き、教卓に腕を組んで遠い目をする。


「懐かしいなぁ、先生もな、高校デビューで緊張してとりあえず目立たないとってケツ出したもんだ。あっ、お前らはケツ出すなよ?黒歴史になるからな。あだ名が桃尻になるからな。はい、日直ー……ってまだいなかったわ、挨拶するぞー、きりーつ」


 全然私の話を聞いてくれない先生の号令で、みんながガタガタと椅子から立ち上がる。

 誰かが、センセーのお尻桃尻なの~?と聞いて、みんなが笑う。


「はいうるさいでーす。おはようございまーす。アンド入学おめでとうございまーす」


 先生に続いて、みんなも笑いながら挨拶をする。着席する。って平和か。