隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。

「……ふへへ」


 笑ってごまかしてみると、イラッとしたのか美紗ちゃんは目を据わらせる。

 ごめんね美紗ちゃん。 ありのままを言ったら美紗ちゃん、『告白して向こうの気持ちをちゃんと聞いてないのにキスしただって?この能天気おバカ』とか怒りそうだから、黙っておくね。


 そのまま美紗ちゃんと電車に揺られ、いつものように城華学園の生徒たちの波に乗って校門へ向かう。 そこでいつも校門に立ってるはずの先生がいない。


「あれ? なんで今日いないの?」

「いつも絶対一人はいるよね。 あと警備の人」


 美紗ちゃんと一緒に首を傾げながら、学校の門をくぐる。
 近くを歩く生徒たちもみんな、先生がいないことを不思議に思っているみたいだ。

 なんだろう、トイレ?


 そしてそのまま教室に着く。 ちょっとドキドキしながら向かった自分の席の隣に、優成のカバンはない。
 教室の中を見渡してみても優成は見当たらなくて、しばらく待ってみても来ない。

 いつも早いのに、どうしたんだろう。 今日休みかな。

 言い知れない不安に襲われて、胸がざわざわとした。


 ……はやく優成に会いたいな。