隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。

「え？なに？」「人殺し、とか言った？」


　私が叫んだ物騒な単語に、教室の視線が一斉に集中して騒然とする。


「はいはい落ち着いてー席ついてー」


　そこにちょうど入って来た担任の三田(さんだ)祐司(ゆうじ)先生が、ポーカーフェイスを崩さないままやたら呑気な声を放って教室に気怠い空気を流し込んだ。


「落ち着いて、だって。　『越谷』さん」


　落ち着きすぎている人殺しが、そんな普通の高校生みたいなセリフを言って爽やかに笑った。


「っ……、」


　無理だ。落ち着いてなんかいられない。

　だって、前世で私を殺した人が平然と隣に座ってるんだから。