隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。

 優成が体を起こしてわたしに向き直る。

 それからぐっと距離を近づけて、冷ややかな目でわたしを覗き込んだ。


「〝越谷〟は、告白されたんだ?」


 その空気に似つかわしくないイチゴの甘い香りがふわっと漂う。


「聞いてたの……?」

「教室戻ろうと思ったら聞こえてきたんだよ。 船橋くんの熱い告白が」
 

 優成の目が据わっていて、ピンと空気が張りつめる。

 
「どこまで……?」

「〝でもあいつは越谷の彼氏にならないと思う〟」

「……」


 優成がふ、と笑った。


「俺もそう思うよ」



 優成は、やっぱりわたしの気持ちをわかってて、あえて傷口を抉ってくる。



「で? 付き合うの? サッカー部のイケメンくんと」

「……付き合わない」

「は、なんで? サッカー部の彼氏欲しくてマネージャーなったんでしょ。 船橋くんのこと嫌い?」

「……」


 なんて意地悪なんだろう。

 それに



「愛なんていらないとか言うやばいやつやめて、船橋くんにしときなよ」



 なんて嘘つきなんだ。



「朔耶への好きは、恋じゃないから」


 抑揚のない声で言ってみせると、優成がピタ、と動きを止めた。

 わたしは、はじめて恋をしたあの日に思いを馳せる。