隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。

「……誰だっけ」


 まさかの返答に面食らう。


「や、誰だっけって、サッカー部のマネージャーの……今日会ったんだよね?」

「あぁ、あの人か。 『ないです』って断ったけど」

「ないです……!?」


 優成はわたしの肩に預けていた頭を起こしながら、鼻で笑った。


「ないっしょ。 あんな性格悪そうな人」


 あまりの言い草に、まりか先輩の恋する顔を思い出してチリッと胸が痛んだ。


「……あのね、先輩、初めて本気で人を好きになったって言ってたよ。こんなにドキドキして泣きそうになっちゃうくらい好きな人できたのは初めてだって言ってたよ!」

「……だから?」

「だからっ!もっとちゃんと考えてあげてよ……!」

「は? なんでひまりに怒られないといけないの」

「っ……、」


 優成の言う通りだ。

 でも、どうしても自分とまりか先輩を重ねてしまって心をかき乱される。

 こんなに思っていても、その気持ちを受け取ってもらうことすら叶わなかった先輩は、今どんな気持ちだろうって。

 苦しい。 悔しくて、悲しい。