隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。

「…………辞めなよ」

「え?」


 唐突に言われて、同じ姿勢で正反対のことを言っていた朔耶を思い出す。


「彼氏なんていらないだろ。 辞めちゃいなよ、サッカー部」


 甘えた声で、そんなことを言う。


「……どうして……?」

「……」


 ……ねえ。

 そんなことを言われたら、こんな風に甘えてすり寄ってこられたら、


「……別に。 深い意味はないけど」


 なんか勘違いしちゃいそうだよ。


 そしてわたしは、なぜか泣きそうになる。

 それをグッとこらえて一番聞きたかった、でも聞きたくなかった質問を口にする。


「優成は……まりか先輩の彼氏になるの……?」


 タタントトン、心地よい揺れに、優成の髪が揺れている。