隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。

 経過観察ということで無事に診察が終わり、先生は出入り口までわたしたちを見送ってくれる。


「あ、代金は、」

「ああ、いらないよ。 タダ」

「え!? いや、そんなわけには……」

「じゃあお金の代わりに、そこの酒々井くんをなだめる役を買って出てくれると助かるかな」

「え?」


 優成を見ると、パッとあさっての方向を向いてしまった。


「酒々井くん。 線引きは大事だよ。 ね」


 宗像先生は診察中も終始絶やすことのなかった笑顔を優成に送る。


「……わかってますよ」


 優成もにっこりと笑ってすぐ、わたしの手を引いて踵を返す。


「じゃあ宗像さん、ありがとうございました」

「あっ、ありがとうございました!」

 
 外へ連れ出されながらぺこぺこと頭を下げると、宗像先生はニコニコ手を振ってくれる。


「越谷さん。 酒々井くんのことよろしくね」

「えっ、あっ、は、はい」


 わたしの返事に宗像先生は満足そうにうなずいて、診療所の中へ姿を消した。

 ……よろしくされてしまった。 わたし、彼女でもないのに。